東京地方裁判所 平成8年(ワ)22581号 判決 1997年2月19日
原告
破産者甲破産管財人
進士肇
被告
株式会社スカイリゾート
右代表者代表取締役
松尾憲治
主文
一 被告は、原告に対し、二五〇万円及びこれに対する平成八年九月二〇日から支払い済みまで年六パーセントの割合による金員を支払え。
二 訴訟費用は被告の負担とする。
三 この判決は仮に執行することができる。
事実及び理由
第一 請求
主文と同じ。
第二 事案の概要
一 争いのない事実等
1 被告は、パラダイスヒルズゴルフクラブを経営する株式会社である。
2 甲は、平成二年一月二九日、被告が経営するパラダイスヒルズゴルフクラブに正会員(会員番号B△△△号)として入会し、会員資格預託金二五〇万円(一〇年間据置、無利息)を預託した(争いのない事実)。
3 甲は、平成八年二月一日、東京地方裁判所八王子支部において破産宣告を受け(同裁判所平成七年(フ)第六八八号)、原告が破産管財人に選任された(当裁判所に顕著な事実)。
4 原告は、平成八年九月一九日、被告に対し、破産法五九条に基づいて本件入会契約を解除する旨の意思表示をするとともに、預託金二五〇万円を返還するよう求めた(争いのない事実)。
二 争点
本件入会契約が破産法五九条にいう双務契約にあたり、原告が同条に基づき、解除して預託金の返還を請求しうるか。
第三 争点に対する判断
一 争点に関し、被告は、本件入会契約については、双方の債務の履行は終わっており、破産法五九条の適用の余地はない旨主張する。
しかし、ゴルフクラブの正会員は、入会契約により、ゴルフ場を継続的に利用する権利を有する一方、右利用の対価として利用料ないし年会費等を支払うべき義務を負っており、また、入会契約に当たり、預託金として一定額の金員を支払う義務を負う一方、ゴルフクラブは、右金員を無利息で運用し、退会に当たってこれを返還する義務を負っているもので、右会員の利用権ないし預託金返還請求権とゴルフクラブの利用料等請求権ないし預託金支払請求権とは対価的牽連関係を有し、会員契約継続中は、双方未履行の債務が存在すると言わざるを得ず、破産法五九条の適用を受けると解するのを相当とする。
二 よって、原告の請求は理由があり、主文のとおり判決する。
(裁判官村野裕二)